百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

稼がない男の読書メモ

スポンサーリンク

「自分と同じ方向を向いている人や自分に近い生き方をしている人のことの方が、人は気になるものだ」

「お金の問題なんてたいした問題なんじゃないんだって。マキちゃんは自分が食っていくくらいの力はちゃんともっているから、どうにかなるよ。それに、もしビンボーになったって、ヨシオが絶対マキちゃんを幸せにしてあげるから。だから大丈夫っ」

「やっぱり国は、フリーランサーフリーターを減らして、みんなどこかの組織に所属させたいと思っているとしか私には思えなかった。その方が、税金や社会保険の徴収だって、みんな会社任せにできる。だいたい、戦後に日本で専業主婦が増えたのだって、「女が家庭を守って、男がバリバリ働く国にしよう」という国策のもと、日本の社会の仕組みがそういう家庭を想定した作りになっていったからだ。国と個人の人生は一見直接関係がないようで、やっぱり密接に関係しているのだ」

「愛と正義って、当たり前だけど、そんなに簡単な話じゃないんだよな。どの方向からどう見るだけで変わってくる。だからいつも、自分は絶対正しいなんて、思っちゃダメなんだよな。だけど、自分の正しさを信じていないと、しっかり生きられない。そこが難しいのさ。なんてね。だはは。……、彼はきっと、一生このまま変わらず、ずっと安いアルバイトの仕事を続けて生きていくんだろうと思った。そして、もしそうだとしても、それでもかまわないと思った。」

「オレ?オレはまあ、仕事が終わってうまいもん食って酒が飲めれば、とりあえず、オッケー」

「私には無理だろうな。公務員に限らず、いわゆる正規雇用で働くことになったら確かに収入は安定するけど、なんか、自分の人生の先々がすべて決まってしまうというか……、なんていうか、どこか不安定の人生の方が、”生きている”って感じがするんだよ。なんか、負け惜しみみたいだし、そんなこと言っても仕事がなくてツライときは本当にツライんだけど、でも、私はそういう人間なんだろうな。……」

 

 

久々に面白い本を読んだ。成熟した社会になったと実感できてうれしい。こういう社会のメインストリームから外れた人はいつの時代も一定数いるんだろう。

47歳でフリーターのヨシオさんの存在は、自分に正直に生きている人だから、”ちゃんとした人生”を生きている人にとって「疎ましく」あり「羨望」であり「癒し」であるんだと読後思った。