百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

再分配は昔のまま

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私は今のところ、大分県竹田市という人口約2万人の小さな市に住んでいる。竹田市は、全国の市のなかで第2位の高齢化率となっており、1位は2006年に財政再建団体に指定された夕張市だ。

昨年、竹田市は水害に見舞われ、その際、竹田文化会館(多目的スペース)が壊滅的な被害を受けた。文化会館を新築するのか、復旧させるのか、なくすのかで1年間議論してきたが、25日に新築することが決定した。市民のアンケートでは8割が文化会館を残してほしいという結果だったので、市民と行政の意見が一致したことになる。文化会館新築にかかる予算は23億円、竹田市が負担する予算は3億円で残りは国の交付金で賄うそうだ。

このニュースは絶望的な気分になった。毎年の予算は約190億円で、国からの地方交付税交付金や国庫支出金などで80%を占め、借金に借金を重ねてようやく予算が成立しているのに、どこに文化会館を新築する予算があるのか不思議。*1市民税、国民健康保険税は高いのにね。また、23億のうち20億は国からの交付金ということは、都市部で納税されたお金を使うことを意味する。私が都市部の納税者だったら、「地方に再分配するな」と思いますよ。

限られた予算をハコモノに再分配するのは高度経済成長のパラダイムです。経済合理性に反している。お金がないなら、医療、福祉、介護、教育といった高齢者が安心でき、子供や若者へ再分配したほうが、非常に合理的だ。

国に依存し、公共事業に頼る構造から脱却できないのは、市の人口のうち70歳の世代が最も多く、65歳以上が40%近くを占めているからだ。新しい感性を受け入れることはほとんどなく、高齢者が意思決定されるわけ。国からの再分配に頼らず、自律的な財政運営をやることはまずないでしょう。

地方の自立は「財政の自立」を意味する。中央集権的な制度の問題は別として、市町村単位で財政運営を何とかやっていくことはできる。人口の高齢化、若者の減少、産業の衰退、国に依存した財政とマクロ的には何もいいことがないけど、最優先事項は自律した財政運営だ。竹田市の場合、190億のうち20%しか市の独自財源がないなら、20%でやればいい。色々な分野で問題が発生するのは確実だけど、借金まみれで将来世代へツケを残すよりはマシです。

「適切な再分配は何か」と問われても答えきれないが、公共事業に金を回しつづけ、未来への投資を怠るのは間違っている。今の世代で借金を返済して、自律的な財政運営をしない限りは若者は定住しない。子供たちも都市部へでていく。このままだと近い将来ゴーストタウンになってもおかしくない。

 

 

 

 

*1:地方交付税は地方の自主財源であるといっても、国から交付されているので自主財源と言えない。今の借金を重ねる財政運営では、地方分権をしても、自律的な財政運営ができるのか疑問。