百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

義務と権利はセットではない

スポンサーリンク

ハフィントンポストの山口巌さんのコラムがご本人の意思とは関係なく?良質なブログ材料となっているので書いてみます!

彼の論旨を簡単にまとめると、「義務(納税)をしてないやつが権利(デモ)を主張するな!」となります。この手の主張は海外ニートさんが活躍されていたころアンチの方々でたびたびみられたので「懐かしいな」という感じです。

さて、山口さんの記事をみていきましょう。

こういったデモといえば、世界の何処でも「怒れる若者達」が国家権力に対し行うのが常である。しかしながら、私が見たのは私と余り年齢の変わらないと思われる中高年の人達が静かに行進する映像であった。風采からして「国防」や「外交」といった「国家安全保障」に拘わる様な人達とはとてもでないが思えない。木曜日の昼間から何でデモに参加する時間があるのか? 堅気の会社員とは思えないが、何をして生計を立てているのか? そんな疑問が一瞬だが頭を過った。

 木曜日の昼間にデモに参加している人がどうやって生計を立てているのか不思議だそうです。つまり月曜から金曜まで働き土日は休む仕事しか知らない(もしくは考えていない)ことになります。看護師、介護士、医師、歯科、消防、コンビニ、農家、漁業、居酒屋、レストラン、など平日が休みの仕事は無数にあります。彼が述べている「会社員」の中にもさまざまな勤務形態があるので、平日が休みになることは特別なことではありません。また、有給でも取ればデモに参加することはできますよ。

でも「普通のサラリーマン」しか知らないから、疑問に思うのも納得ですね。

 

私は30代の前半に三年半中東に駐在した。詳しくは書けないがその間三度程死の危機に直面した。一方、アルジェリアにあるサハラ砂漠も含めた過酷な生活環境も実際に体験した。そこにあるのは、日本に生まれ、日本でしか生活した経験しかない人間には想像も出来ない、過酷で厳しい日々の連続である。そんな場所で体を張って仕事をし、年収を得、納税し、社会保障の負荷を負担している訳である。

一方、木曜日の午後にお気楽にデモに興じている中高年はどうやって金を稼いでいるのだろうか? 「生活保護」の受給? 或いは、「失業保険」の受給? こういった、社会保障費の財源は過酷な地域で命を懸けて働いた人達が給付した税や社会保障費である。そして、特定秘密保護法案の成立はこういう人達を保護するために必要なプロセスなのである。社会保障に寄生する人間が反対するなど言語道断である事はいうまでもない。

納税しているのは「過酷で命を懸けた仕事しかしていない人」だそうです。また、デモに行く中高年は生活保護受給者で、特定秘密保護法案は彼らを守るために必要みたいですね。思い込みの一言です、はい。

 

 非正規雇用で働いている人もデモに混じっているかも知れない。年収が低ければ、納税額、社会保障負担額は微々たるものに過ぎず、実質は行政サービスにタダ乗りしているに過ぎない。非正規雇用として勤め先の一般情報にもアクセス出来ない人間が高度に専門的な安全保障関連の情報管理にいちゃもんを付けて一体何の意味がある? 先ずはきちんと仕事をし、その結果、一定の評価を得て正社員になる事が先決ではないのか? そして、先ずは、日本国民として恥ずかしくない納税と社会保障の負担をすべきではないのか?

 非正規雇用は40%にまで拡大していますが、非正規雇用がいなかったら、日本の会社は成立しないからここまで増えていますし、「働き方」にすぎないので、良い悪いの問題ではありません。非正規雇用が仕事をきちんとしていないというロジックがよく分かりませんね。これも単なる思い込みです。

 

山口さんに足りないのは「他者への想像力」です。今ご飯を食べられるのはあなただけの力でしょうか?もちろん努力もされてきたのでしょうが、周囲の環境や運といった要素があることは否定できません。もし極貧の家庭で生まれたとしたら今のような生活ができている可能性はとても低いです。貧困と学歴に相関関係があることは証明されています。また、失業や生活保護を受給する可能性を考えていないとしたら不思議です。誰でもどうなるか分からない時代なのに、社会保障を享受する人たちを責めたらいざというときご自身が困りますよ。

そして、納税と権利はイコールではありません。納税の有無にかかわらず権利は全国民にあります。王政や独裁からの圧政と民衆が戦い「生まれながらに権利がある権利を」勝ち取ったのです。

自分が苦しんで仕事をし、納税しているからといって他者に同じ苦しみを求めるのは止めてくださいね。「俺が苦しんでいるのにお前が楽をするのは許せん」ですので。あなたの指摘する「日本に生まれ、日本でしか生活した経験のない人間」と同じになってしまいますよ。