百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

俺が何者でもいい

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限界集落じゃなくて消滅集落に住んでいる。平均年齢は80歳、若いと言われる年齢は60歳、30歳の俺は子どもみたいなもんだ。

みんな年を取っているから程度の差はあれ病気もち。介護が必要な人もいれば足腰が悪いだけの人もいる。

この前車イスのおじいちゃんが風呂場で転んで倒れた。普段は妻であるおばあちゃんが身の回りの世話をしている。おばあちゃんは自分の力では持ち上げることができないため近所の俺の家に来て助けを求めてきた。(そのときパンツ一枚でウロウロしていたので恥ずかしかった)

おじいちゃんは結構重くて持ち上げるのは大変だったけど、風呂場から居間にあるソファーまで移動することができた。昔介護をしていた経験がまさか活きるとは思わなかった。人生無駄なことは何一つない。

おばあちゃんは何かあったらまた頼んでいいか?と言ってきたので、もちろんお互いさまやしと言って家をあとにした。

俺は集落にいるときは家でゴロゴロして外出したいときに外出している。仕事は気の向くままにしているだけ。無職。

普通だったら「若いのに働け!」とか言われるだろうし、30すぎた独身の男が家で毎日ブラブラしていたら不審がられて相手にされないものだ。

ここの集落の年寄りは何も言わない。会ったら普通に話すし、酒もらったりスポーツドリンクもらったり漬物もらったりする。

その理由は若者がいないから。正確には力があっていざというときに頼れる若い男がいないから。最近になってようやくわかった。

みんな何だかんだで何かあったときに頼れる男がいないから俺を大事にしてくれる。

理由はどうであれこの集落の年寄りはできた人たちだ。感謝している。

限界集落に移住して村八分にされたというブログだったりニュースがネットでは散見される。もちろんそういうところもあるのはわかっている。閉鎖的でいいことばかりではない。

でも俺の住む集落のような受け入れてくれる場所もあるということを知ってもらいたい。

無職であれ、ニートであれ、サラリーマンであれ、引きこもりであれ、独身であれ、女であれ、シングルマザーであれ、金持ちであれ、貧乏人であれ、社会不適合者であれ、何もせずともただ住むだけで喜ばれる田舎もある。

今日も年寄りにもらった黒霧島で一杯やるわ。

The Countryside