百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

オーガニック野菜がほしいならどんな野菜でも買ってください

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無農薬で野菜をつくり販売したことがある。最初から難しい挑戦になることはわかっていたが、やってみて途方もなく難しい道のりで色々なことに幻滅した。

オーガニックという言葉はかっこいいし、都会的な印象がある。実際オーガニックを「信仰」する連中は言葉だけの上っ面な方々がほとんどだ。

例えば、オーガニック専門店では「動物性堆肥を使っていますか?使っている野菜は溶けるように腐るので体によくない」と言う。「不耕起ですか?自然環境に配慮していますか?」とも言う。ベテランの生産者やちゃんとした知識がある消費者の方なら絶対にこういうことは言わない。動物性堆肥を使おうが耕そうが環境に配慮するとか本当にどうでもいいことであって、いちばん大事なのは、農薬を使わず野菜ができることだから。もし動物性堆肥を使わずに無農薬で野菜がちゃんとできるなら使わないし、耕さずにできるなら耕さない。~農法とか言うのも同じ。ちゃんと野菜ができるかどうかそれが一番大事。

消費者でオーガニック野菜が食べたい、子どもに安心安全な野菜を食べさせたいというニーズはある程度ある。その気持ちは十分にわかるし、生産者側も同じ気持ちだ。オーガニック生産者がつくった野菜を個別販売やらでぃっしゅぼーやなどの大手オーガニック専門店で買ったとしよう。

当然オーガニックだから慣行野菜のようなきれいな野菜ばかりが揃うわけはない。形も不揃いだし虫食いがあるし、キャベツのなかに青虫とかの虫が入っているかもしれない。生産者からすると当然のことだけど、消費者様はダメなわけですね。農薬を使わなくても虫食いはだめ、形が汚い野菜はだめ、土がついたらだめ、虫が入っていたらだめなわけです。

「私は家族に安心安全な野菜を食べさせたい」といいながら慣行野菜のような見栄えが一番大事わけです。多分というか一般の消費者にこのような話をしても前提がまったく違うので理解されないだろうが、オーガニック野菜を食べたいと思っている消費者にはぜひ理解してもらいたい。あなたの言っていることは無知でしかないと。

オーガニック市場は0.25%しかなく販売する小売・消費者ともまったくもって無理解な状況でも、オーガニックをつくり続ける生産者の方は本当にすごい。心から尊敬している。僕にはできません。心が折れた。

はっきり言って農薬が危険になろうが農薬はまく。100%そっちのほうが売れるから。霞を食ってでも生産者は農薬を使わずに生産しろとかありえない。一般の方はそういうつもりがなくても現実にはそういう状況をつくりだしている。

無農薬、オーガニック野菜は全然おしゃれじゃない。休みもまともにとれないし、土にまみれ、汗にまみれ、雨が降ってもずぶ濡れで働く。99%苦だから1%だけ達成感がある。消費者のためとかじゃなくて、畑でしか味わえない充実感のために続けられてきた。

今後オーガニック野菜を生産するならごく身近の本当に食べたい消費者だけにつくりたい。いまのところは農薬を使って販売していくことしか頭にないけど…。まあ最低限しか使わずにやっているけどね。

色々な小売・消費者を相手にするのは口だけの連中しかいないからもう相手にしたくないのが本音です。

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