自給自足で生活はできない
スポンサーリンク
幻想は捨てよ
田舎暮らしの雑誌は都市で暮らしている人につくられているのがすぐにわかる。表紙はおしゃれで登場する人物たちも洗練された格好をして、オシャレなロッジやカフェが登場して「理想的な田舎暮らし」を演出している。
僕は、田舎で生まれ育ち、最近になって田舎に帰ってきたが、雑誌にでてくるような田舎は一度たりともみたことがない。資産があって金で物事を解決できる人なら雑誌のような生活はできるのだろうが、悠々自適な資産家は別荘で一時的に生活することはあっても定住することはない。
リアルな田舎は不便だ。インフラは整備されていても、生活範囲がコンパクトではないから車で移動しなくちゃいけないし、仕事は山のようにあっても賃金が安いから掛け持ちするし、家の築年数は古いから夏は暑くて冬は寒いし、古民家に住むとボロボロだから修繕に100万単位で金がかかるし、蚊は多いし、寒い地域に住むと水道管が凍結するから毎日水抜きをしないといけないし・・・とで生活が「不便」なわけです。
まあ、田舎は不便なのがいいから都市のように便利になると価値は相対的に低下するので、不便なままでいい。
自給自足生活を目指して田舎にやってくる都市住民の99%は失敗する。お金がある程度必要だからです。単純な話。全く資産も持たずに生活するのは仙人のような知恵と技術がないと不可能。自給自足をするような人たちほど、この2つがないから絶対に無理。
カフェやサラリーマンして生活するならまだいいが、農業するならオシャレな田舎暮らしの雑誌はみちゃいけない。田舎で生まれた僕ですら農業にふんわりとしたオルタナティブな幻想を抱いていたので、打ちのめされることばかりだった。新しく農業をする人には同じ失敗をしてほしくない。
農業は建設労働者と同じで土方だ。はじめのほうは何も技術がないから頭を使えないので体を使うしかない。汗にまみれ土にまみれと昭和の労働者たちのような毎日になる。オシャレな野良着なんか何の役にも立たないし、バイトしてでも金を得ないと破綻する。
それこそ資産があればどうにでもなるが、資産家であれば農業はそもそもしないからね・・・。
自給自足するためには技術身につけ最低限のお金は必要
身も蓋もないが自給自足に近い生活をするなら技術を自分でみにつけるしかない。食料を確保するためには野菜をつくれる技術がいるし、タンパク質を摂取したいなら狩猟免許・わなの免許をとらないといけない、寝るところを確保するには家を修繕できる必要がある・・・とで何をするにしても技術とある程度の金がいる。
文明を捨て山に篭れば完全なる自給自足はできるのかもしれないが、田舎で暮らすなら技術と最低限のお金はいる。すべてを自給自足生活するのは資本主義経済では無理。
素人がいきなり単身田舎に行き、自給自足生活をするのは無理なので、まずはそういう生活をしているような人のところに行き、技術を身につけてからやろう。
最後に、何回も書くけど、オシャレな田舎暮らしの雑誌のような生活は幻想ですよ。