百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

飼料米への転作

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田んぼに白いロールが並んでいる光景をみたことがありませんか?これは飼料米と言います。飼料米とは人が食べるお米ではなく、牛など家畜が食べるお米のことです。農林水産省のホームページをみると「飼料米にするとこんなにいいことがあるんですよ!!」と猛アピールしている。

飼料用米の利用に関するQ&A:農林水産省

実際、農水省がアピールしているお陰かどうか不明だが、ここ数年で一気に広がっていて今年に入って更に飼料米への転換が広がっている。もちろんメリットがあるから畜産農家はやっているわけですが、農水省に書かれれているのは以下の通りです。

◯地元の米を利用していることをアピールできる。

◯水田を使うことで地域貢献ができ畜舎への匂いなどの苦情が減った

◯とうもろこしを使わないので相場に左右されず経営の安定に繋がる

これらのことが書かれています。嘘ではないですが本当の理由ではないです。田舎の現場にいてわかった理由は3つです。

(1)米価の低下

(2)高齢化による放棄地の増加

(3)補助金の流入

 

(1)米価の低下

減反が行われるときから続いています。安くなったのは補助金が減らせれているため。お米が重要作物だったときは米農家に莫大な補助金を投入していたので1俵3万円以上していた。米農家で豪を成した農家もいたくらいです。食が多様化して輸入品が増えていったことも米価の低下に拍車をかけた。お米で食べれなくなった農家は少しずつ田んぼから畑へ転作して、減反をしてつくらなくなりました。

(2)高齢化による放棄地の増加

農家の平均年齢は69歳。70歳が中心の産業は産業として成立しているといえるでしょうか。僕の周りでは70歳後半の高齢者が田畑を維持しています。

「あと米ができて2〜3年かのー。もう体がきつい」と異口同音に言っています。後継者はいません。子どもたちは都会で家を建て生活しているので帰ってくることはない。かといって農業をする人もいない。誰も米をつくらないので放棄地が急速に増えています。高齢者は複雑なんです。長年お米をつくってきて何よりも田んぼを維持していくことが大切だとわかっている。でももうできないから放棄せざるを得ない。

(3)補助金の流入

はい、これが最大の理由です。上記の2つの理由、米価が下がり米農家で生計をたてられず高齢化で放棄地が増えているなら飼料米に変えてしまえばいい。これらを解決するために補助金を投入することが一石二鳥なわけです。実際はそんなことで飼料米をやる畜産農家はいないですけどね。

  飼料用米の利用を拡大していきたいけれど、保管施設や粉砕等に必要な機械に対する支援にはどのようなものがありますか。
1. 畜産農家が飼料用米を利用するために必要な機械の導入や施設の整備については、次の事業が活用できます。(ア)強い農業づくり交付金(平成30年度)
・飼料用米の利用に必要な調製・保管施設の整備等を支援します。
(イ)畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(平成29年度補正)
・畜産クラスター計画に位置づけられた地域の中心的な経営体が飼料用米の保管・加工・給餌等に必要な機械の導入や調製・保管施設整備等を支援します。

農水省のホームページをみると、強い農業づくり交付金やら畜産・酪農収益力なんちゃら事業と各種補助金が手厚く整備されていることがわかります。畜産農家が無料で飼料米をつくることはない。補助金をもらえるからやる。ごくシンプル。ちなみに白いロール一つの値段は約1万円するそうです。1万円をかけて飼料米をつくってもそれ以上の補助金がもらえるわけですね。土地の所有者も転作料として幾らかはもらえるみたいですし。

畜産農家・田の所有者が飼料米で税金をもらうのは悪いことなのでしょうか?もしくは合理的な税金の使われかたをしているのでしょうか?

国が出すなんちゃら補助金は名前は違えど中身はただのバラマキです。もし効果的な使われ方をしていたなら農業は産業として栄えていたはず。飼料米への転作も同じこと。場当たり的に金をバラまいているだけ。酪農家や農家は、米と飼料をつくるのに市場原理のままだと採算が合わないから補助金をもらっているだけにすぎません。

お米は主食というのは本当でしょうか。平野で機械操作が楽な場所では米の生産が続いていくでしょうが山が深くて機械が入りにくい中山間地は放棄地が増えていくでしょう。中山間地域等直接支払制度はありますが、放棄地が減ることはないでしょう。

おそらく飼料米も10年後にはなくなっているでしょう。また新たな名前で短期的な金儲けしか考えない補助金が配られているのかなと。そんな余裕が農業にあるのかわかりませんがね。