百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

非科学的な「治療行為」の影響力

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ガンで亡くなった人が存命のときに強く印象に残っていることがある。人は死を目の前にすると藁にもすがることだ。「○○でガンは治る!」とエビデンスに乏しい本でも片っ端から読み漁る。あるときはアナグマの尻尾をすりつぶして粉にして小瓶に入れたものを1万円で買ったり、大量のオーガニックにんじんジュースを飲んだり…とあの手この手でガンに立ち向かおうとする。金の棒で背中を擦る行為や断食といったことも同じだ。科学的・客観的にみれば効果に疑問がある「治療行為」であったとしても追い込まれると何でも手をだす。お金がどれだけかかってもやる。

がん患者たちの「治療行為」を批判することはできない。普段は「科学的にありえないからそんなことするのはおかしい」と思っていても、いざ当事者になれば自分もやってしまうかもしれない。

問題なのはガンに限らず病気で苦しんでいる人たちから根拠のない非科学的な「治療行為」を世に流布する連中だ。彼らが金儲けのためにやっているのか本気で信じてやっているのかどうか知らない。当事者たちが「治療行為」を実践して症状が悪化したり家族が分裂したことに対する責任を非科学的な行為を勧める連中が責任をとることはない。

 

内海医師は医師でありながら反ワクチンを訴える人物として界隈では有名だからアマゾンで1位になっても驚かない。内海医師を信望する人たちは一定数いるし、彼が講演を開くと人が集まるのはネットでみることができる。

がん患者、その家族なら内海医師を知らずともアマゾンでガンの本を調べていて1位だから買ってみようかと思っても不思議じゃない。

人類の平均寿命が伸びた大きな要因の一つは医療の発達であることは疑いようのない事実だ。ワクチンを否定し科学的ながん治療を否定することがおかしいことは少し考えればわかることなのに非科学的な「治療行為」は減るどころから一定の影響力を保ち続けている。非科学的な「治療行為」を推進する連中は現代の不安をうまく救って口当たりの良いわかりやすい物語を提供することで信用を得ているのだろう。

「治療行為」を信じる人たちをなくすことは難しい。他人が信じていることを否定したとしても考え方を変えることはできない。宗教と同じだ。

非科学的な「治療行為」を勧める連中を抑えるにはどうすればいいのだろう。アマゾンや書店で販売しない規制をしたとしても「陰謀だ!」と言われ盛り上がっていくだろう。ネットでも同じだ。規制は逆効果になる。正直どうすればいいのかわからないが、こちら側も科学によって病気はこれだけ治るんだ!ということを難しい物語ではなくわかりやすい言葉で伝えていくことしか思いつかない。「自然療法でガンは治るんだ!!」「ワクチンはユダヤの陰謀!!」とか言ったほうがロジックで科学的な言葉使うよりわかりやすくて勢いがある。単純でわかりやすい物語をこちら側も伝えていかないと止まらない。

しかし内海医師のような連中がある程度の影響力を持っていることに関しては何らかの対処が必要なのかも。対処しても鍼灸などの東洋医学と混同されないよう注意はいる。

ILRI vaccines research