百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

大規模化と逆行

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「農地を広げて市場を通さず直接契約して従業員を雇用し、更に面積利益ともに拡大する」のが農業の流れとなっている。種苗メーカーの雑誌にも大規模経営者が次々と登場する。国が大規模、6次化を推進して大量の補助金を投入しているので、当分この流れは続くだろう。

大規模化してどのくらいの法人・会社が10年、20年と続くのだろう。立派な施設を建て1反あたり50トンのトマトを出荷しているところでも補助金というなの税金がなければ食っていけない。従業員を雇用するにも農の雇用で3年間給料を保証しないと雇用することができていない。補助金も年数制限があるため、期間をすぎると税金のバックアップがなくなるため自分たちで稼いだ金ですべてを賄うことになる。ある農業法人は売上の70%が補助金で、今後のことを考えると存続できなくなる危機感があるから比率を下げたいと考えているそうだ。ある程度比率は下げられたとしても一般の会社のようにすべてを市場に任せることはできない。

育苗、潅水、農薬散布、畑を耕す、収穫…これらの作業はどれも大切な管理作業だがお金になることはない。市場出荷ならセリにかけられ仲卸が競り落とし、市場から手数料をひかれ入金されはじめてお金になる。お金になる部分は最後の最後でしかない。その間人を雇い、賃金を払うには資本がある既存の伝統的農家か規模拡大するしかない。それをできるのは限られた一部の農家であり、経営、技術を兼ね備えた優秀な人しかできない。

また、大規模化して何からの理由で辞めざるをえなくなったとしても大規模圃場を管理できる人材は限られる。100ヘクタール農地を残されると空白がうまれてしまう。耕作放棄地が増え農業者が減るなかで大規模化していくことは否定できない側面もあるが、うまくいかなくなったときのリスクは農地、ひいては地域を一気に衰退させてしまう。

だったらどうするのかといえば、小規模農家が増えて畑を耕す人が増えることが一番いい。自分の身の丈にあった畑の広さなら大きく儲からない代わりに大きく損もしない。何か大きな予想もしないことが起きたとしても被害は最小限に抑えられる。細く長く続けることができる。農業経験がない人がどのくらいの広さを自分ができるか知るよしはないので、まずは家庭菜園1坪農園でいいからやってみてたらいいと思う。いきなり素人が1反管理するのはできない。1坪ができなら次は5畝、その次は1反、次は3反…と少しずつ広げていけば「あーこれくらいが適正だな」とわかってくる。仮に大きくしすぎたとしても、減らせばいい。いきなり大きくすると取り返しがつかなくなるが、小さい農地で始めれば成功する可能性は上がる。

小さい農業で稼ぐコツ 加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円

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「農業を株式会社化する」という無理 これからの農業論

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小規模農家でも江戸時代、戦前、戦後と違って食っていけるだけの金しかない状態にはならず食っていけてある程度旅行に行けたりたまにおいしいもの食べるくらいの余裕は手に入る。毎日畑に行っても誰にも雇用されてないから疲れたときは休めるし、気分転換したいときはフラっとどこかにいける。どこかの大規模法人に雇用されて8時出勤の17時終わり日曜休みで社会保障がつくところで農業するより、小さくてもいいから自分で立ってやったほうが絶対に自由だし収入も高い。

農水省が音頭を取って大規模化をすすめているから日本各地で大規模施設栽培、大規模農業は当たり前になっていっても、小さくて小回りのきく小規模農家が消えることはない。100年後生き残っているのはいうまでもない。

田舎にきて農業するハードルは下がっているので小さな農地からはじめようぜ。俺は世の中がどうであれ自分の信じる道を行く。

Howell Farmers' Market