百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

同窓会について

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「同窓会」と検索すると、否定的な意見がトップに並んでいた。そのなかでお笑い芸人のハライチの岩井さんのコラムがとても興味深くておもしろかった。

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本当に仕事と私生活に満足している人間は同窓会など開かないということだ。端から見て私生活と仕事が上手くいっていても、どこか楽しくないとか、満足していないとか、もっと人に認められたい人間が、学生時代の楽しさのピークを更新できていないからか、同級生より上に立ったことを確認したいという理由で同窓会を開くのだ。なので、楽しさのピークを更新していて、今を楽しんでいる人間は同窓会など求めていない。

 僕は岩井さんの意見と違って、久しぶりに昔の友だちと会うのは嫌なことより嬉しいことのほうが勝るから行けるときには行くようにしている。しかし、岩井さんが同級生と会ったときのエピソードを読んで納得した。

タクシーに乗り、言われた住所の店に着くと、夜中までやっているひっそりとした少し高級感のあるバーだった。中に入ると、他の客はおらず、テーブル席に同級生2人が座っていた。手前に座っていたのが歯科助手の女の子、そして奥に座っていた男が僕を見つけ「お、天才来た! 天才ー!」と言った。適当に言われる“天才”ほど気持ちの悪いものはない。

 こんなこと言われたら誰でも嫌ですね…。

飲み物を注文し、なぜ僕とお酒を飲みたかったかをそいつに聞いた。すると「いやー、頑張ってるのかなと思ってさー?」という答えが返ってきた。

『頑張ってるのかなと思ってさー?』というのは、久々に会った後輩や部下といった目下の者への言葉ではないだろうか。そして、みんな各々自分の場所で頑張っている。他人がとやかく言えることではない。他業種の人間に「お前頑張ってるの?」と聞くことが、どれだけ失礼かを理解していないのだと思った。

とりあえず呆れ気味に「まぁまぁだよ」と答えた。何の仕事をしているのか聞いてみると「ビットコインとか、仮想通貨系の仕事。仮想通貨でまぁまぁ儲けててさー」と早くも自慢話が始まる。

僕が興味なさそうに「へぇ、あそう」と言うと、さすがに会ってからずっと気の抜けた相槌を僕が打っていたことに気付いたのか、そいつは「俺もそっち界隈では岩井くらいは有名だからな!」と切り札を出すかのように言った。

僕は「そうなんだ」と返した。しかし、つい少し笑ってしまっていたらしい。そいつが「あ、バカにした?」と怪訝そうな表情で言う。僕は「いや、わるいわるい」と謝った。

自分と相手のどっちが有名かを競ったり、自分がどれだけ有名かを相手に説明することは、不良や暴走族までで終わっていると思っていた。その価値観を持っている大人がいることに、僕は単純に驚いたのだ。

 

今まで同窓会に行って「自分がどれだけ有名かを競う」ことを経験したことはなかったけど、最近同じようなことがあったので思わず頷いて読んだ。

 

少し不穏な空気になったことに女の子が気付いたのか「ほら、今日の写真見せてあげるよ」と言って、携帯電話で写真を見せてきた。何人もの同級生の写真を見る中で、中学の時に仲が良かった部活の友達の写真が出てきた。

「こいつも全然会ってないなぁ、何やってるんだろう」と僕がつぶやくと、女の子は「元気だったよ。今はビルの警備員やってるらしい」と答えた。仲が良かった友達も元気でやっていると聞いて、僕は少しだけ嬉しかった。

 するとその男がグラスの酒を飲みながら「っていうかさ、30過ぎて警備員ってどうなの?」と吐き捨てるように言った。警備員も立派な仕事だ。友達が今警備員の仕事をやっている。何が悪いのだ。僕は同級生のその友達が下に見られ、バカにされたような気がして許せなかった。

 どうしてわざわざ仮想通貨で儲けた同級生は警備員の同級生を馬鹿にしてマウンティングするようなことを言ったのか。

僕は会ってから30分も経たないうちに、今日のこいつの考えが大体想像できた。

 こいつは今、仕事も私生活も上手くいき、人に羨まれるくらいになった。同窓会に行けば、同級生に持てはやされ、羨まれると思っていたものの、恐らく同級生からは、口を開けば『ハライチ』という名前が出たのだろう。

 少しでも主役になれると思って臨んだ同窓会で、想像通りの快感を得られなかったことに憤りを覚え、唯一僕と仲のいい同級生の女の子に僕を呼び出させた。そして現状を僕に話し、自分の価値を認めさせたかったのだ。

 こいつは収入で人の価値が決まると思っている。しかしその価値観が全てだと思っていた場合、自分より収入が多い同級生から「お前頑張ってんの?」と言われた時に、ぐうの音も出なくなる事を分かっていない様子だった。

 やはりこういう思惑が渦巻いている同窓会には、行かなくて正解だったと思った

「本当に自分の生活に満足している人は同窓会に行かず、充実していないとか、中途半端に満足している人が行くものだ」という考えはこのエピソードを読むと「そうだよなあ」と思う。

人を見下してカタルシスを得るために同窓会に行く人や収入の多い少ないでしか人を判断できないような同級生ばっかりが集まる場所には行きたくないのは誰しも同じ。

前述した最近経験したことはお金、生活のことだった。年収、仕事、納税のことを聞かれて適当に答えたことについてなんだか説教された。どういう人生であれ、みな自分の人生を生きているわけだから他人があれこれいうのはおかしいなことなのに。嫌な気分になったけど、今後集まることはないし会うこともないから嫌な気分になっても適当に流しておいた。

同窓会は行っても行かなくてもいいような類のイベントだと思うけど、どうせ行くならシンプルに楽しく話して終わりたいもんだ。マウントしてくる同級生とはそっと距離を置いておこう。

 ※引用部分の強調は筆者