百姓日記

百姓をやるために田舎で生活しています。

養殖の町、荒廃の先にあるもの

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緋扇貝の養殖と漁師

佐伯市蒲江はリアス式海岸が広がり、漁業が生活の中心にある。沖に出かけてアジやらタイを釣る漁よりも養殖が盛んだ。蒲江の町に来れば海に養殖用の生簀があちらこちらみることができる。

寒ブリと緋扇貝がメインなんだが、寒ブリは一般的でも緋扇貝は聞いたことない人がほとんどだろう。紫、赤、黄色など多様な色をしているのが特徴的。こんな感じ。


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色鮮やかですよね。味も抜群においしくて実もでかいので食べ応えがある。佐伯市だけじゃなくて愛知でも緋扇貝の養殖は盛んらしいので食べる機会があれば是非食べてほしい。贈答品としても喜ばれるますよ。

養殖が盛んとはいっても緋扇、寒ブリとも漁業者は高齢化と燃料の高騰で減ってきている。個人でやっていた漁業者はどんどん徹底している。株式会社にして組織化しているところは自前の加工所や直営店を持ち、大都市圏向けに出荷している。一次産業は個人は消えて、大規模・組織化する流れは共通している。良いのか悪いのかわからないが現実はそうなっている。会社化したところは結構儲かっていて、経営が順調だそう。魚の需要は山のようにあっても供給する側が少ないから。

おもしろいのが、漁に出かける漁師たちの休みは満月なこと。どうやら夜魚をとるときに月が明るすぎると魚がとれないのと、昔からの習わしでお休みにするそう。21世紀に月の満ち欠けで生活リズムが決まるのは漁師くらいだろう。

廃れた先に

組織化した漁師たちの懐が潤っても町はゆっくり死に絶えている。いや、近ごろは急速に廃れている。

若者はマジでいなくて、年金生活者がマジョリティで漁師、農業、介護、コンビニ、公務員の仕事しかない。賃金も雇われて働いたら最低賃金だ。

仕事がないことより、「ここには何もない」と異口同音に開口一番言うことが問題かな。何もないのを卑屈に思い、人の往来が盛んで子供の活気に満ち溢れていたころを懐かしむから暗くなる。田舎で育った若者たちは小さいころから大人が呪文のようにネガティブな聞くから、田舎で生活しようと思わない。田舎が良いのは何もなくて衣食住に困らないからいい。お金は必要だけどある程度稼げば食うのには困らない。若年ホームレスが先進国の都市部で増えている状況で食うに困らない場所は魅力的だ。

youtu.be

BBCでイギリスの若年ホームレスを特集している。日本のようにネットカフェで寝泊まりせず路上生活しているところは違えど、他人事じゃない。イギリス同様若年ホームレスは見えにくいし、いつ誰でも家を失ってもおかしくない。日本は家を借りるときに連帯保証人、敷金・礼金、所得証明書、確定申告書の提出を求められるので家を借りにくい。しかも家賃も高い。仕事を失えば誰でもホームレスになる可能性がある。

漁師町が昔のような活気を取り戻すことはなさそうだが、魚釣りして家庭菜園して家で寝れて生活できるだけの金を得ることができればなんとかなりそうな気がする。

漁師は「稼いでなんぼや!」という考えだから僕の考えと反するが、彼らにガッツリ稼いでもらってオコボレを僕らがもらえばお互いにとってメリットがあるんじゃなかろうか。

せっかく家を借りているので生活を協力できればなと思っている。

 

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